露点計測のおはなし

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まだまだ健在、イスズ式露点計 - Dewcup(デューカップ)

「露点計測のおはなし」、計測記事担当の、Konです。

機器の取り扱いが好きで、楽しみながらマニュアルを読めるのが、ただ一つの特技です。

主に電気計器を使用して、露点計測をしていますが、たまに手分析でやってくれとの依頼があります。

電気式の露点計は便利ですが、最大の欠点は、とんでもない値を出しても、真偽のほどを、その場で確かめることは出来ません。

その点、実際に結露を目で見て、確かめられる機器は、信頼性があります。

このような機器は、イスズ式露点計 - Dewcup(デューカップ)と、浜田式露点計の2つが、製品として有ります。

本日はDewcupについて、お話してみたいと思います。

写真 ↓ イスズ式露点計 - Dewcup(デューカップ)


名称は、正式には、イスズ式露点計、空気露点検測器など。弊社の製品名で言うと「DC型空気露点検測器」です。通称、Dewcup (デューカップ)と言います。

現在のような形に落ち着いたのは、ほぼ40年以上前で、それ以来、基本形状はほとんど同じで、いままで作られてきました。

実際に、結露を目で確認して、露点計測をするため、いまだに、現場で、根強い信頼性と人気があります。

 

メーカーを変え、材質や加工技術の進歩等を取り入れながら、精度と再現性が格段に向上し、製造販売を続けております。

計測の方法を、きっちりと守れば、-70℃DPから大気露点まで、±3℃DPの誤差で、計測することができます。

Dewcup計測の方法

以下は、(株)愛知洋行で実際に計測し、国家基準とトレーサビリティのある基準露点に、最も近くなる、方法を確立したものです。


 

1. 機器の準備

写真 ↓ が、正しい計測に必要な、露点計に設置する装備です。


写真の「パージ配管」は、-70℃DP付近を計測するときに、ガラス面に霜が付かないように、背面のサンプルアウトから、引っ張ってきます。

この他に、ドライアイス、無水エタノール、ドライアイスを砕くためのハンマー、投入用スプーン、結露確認用ランプ、が必要です。

 

 

2. セッティング

サンプルガスINに、サンプルガスを流します。流量は正確に、3L/minを安定的に供給して下さい。
流量は、たいへん重要で、多いと低く、少ないと高い露点計測結果が出ます

配管は、テフロンチューブが最適です。SUS管も良好ですが、フレキシブルでないと、取り扱いが不便です。
ビニールチューブは不可。

パージ時間は、出来るだけ長く取って、機器内の水分を飛ばしでから、計測を開始します。

ドライアイスを、ハンマーを使って、粉状にします。

カップ内に、1/3の無水エタノールを入れます。あまり入れすぎると、ドライアイスを入れたときに、ふきこぼれる恐れがあります。
 

 

3.計測

スターラーを回し、デジタル温度計をONにして、スプーンでドライアイスを投入していきます。
初めは少なく入れないと、吹きこぼれます。途中では多めに入れて、ターゲット露点になるころには、少なくするのがコツです。

ライトで霜が付くのを確認したら、ドライアイスの投入をやめ、温度計が下がりきるのを確認し、一番低い温度を記録します (着露点)

スターラーを回したまま、温度が上がるのを待ち、消えると同時の温度を記録します (消露点)

これを、3回繰り返し、着露点と消露点の、平均値を計算します。これが1ロット目の露点です
3ロットのデータを取ったら、計測は終了です。

 

4. 検討

3ロットの平均値が、最終の計測露点です。

各ロットの値が、大きくばらついているときは、問題ありですので、設定や温度計などの機器、流量、計測の検討をします

以上の手順を正確に踏めば、誰がやってもほとんど同じ値になるはずです


露点計測にかかわっているエンジニアの皆様、安価な費用で出来ますので、実際に計測して、露点を実感することを、お勧めします

以上で、Dewcupのお話は終わりです

執筆者:Kon

 

実際の計測を動画にしてみましたので、参考にして下さい。

「アルコールまたはアセトン」を「無水エタノール」に変更して下さい。

 

別記事も参照して下さい → 「露点計の現場での点検法 「イスズ式露点計」Dewcup(デューカップ)の凄いところ」

 

正しい計測に必要な、露点計に設置する装備を、ネットで探してみました

 

温度計

楽天で見てみる →  横河計測 デジタル温度計 TX10-02

アマゾンで見てみる → 横河計測 デジタル温度計 TX10-02

ミキサー

楽天で見てみる → アズワン ペンシルミキサーDX

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支持スタンド一式

楽天で見てみる → 三ツ足スタンドx1、丸形クランプX2、ムッフX2

 

 

 

計測担当、Kon | comments(0) | -

トレーサビリティのお話しと、「校正証明書」の発行

「露点計測のおはなし」、理論担当のTakuと申します

 

中学・高校と、教科では物理が好きで、勉強しなくても授業を聞いているだけで合格点を取っていました。

 

たった一つ中学時代に良く解らなかったのが、飽和水蒸気・露点・湿度で、分からないからと勉強していくうちに、遂に大学で、専攻する羽目になってしまいました

 

「たかが水分、されど水分」

 

簡単なようで、結構難しく奥が深いのです

専門に勉強してみて、それが分かり、まあ、中学・高校くらいでスッキリと分からなかったのは、無理もないと思った次第です

 

さて、ぼちぼち、表題の「トレーサビリティ」のおはなしに入りましょうか

*****************************************************


ちょっと硬くて難しいのですが、露点計測の要の部分で、現在、国際的に非常に重要な概念となっておりますので、ぜひ、最後までお付き合いください。


露点計を始めとする計測器は、定期的に校正をしなくてはいけませんが、そのためには信頼できる基準器が必要です。

その基準器もまた、校正が必要で、それには別の基準器を使用します。

この様に順次さかのぼり、最後に辿り着くのが、国家標準または国際標準というわけです。


トレーサビリティはJISの計測用語で、

不確かさがすべて表記された切れ目のない比較の連鎖によって、決められた基準に結びつけられ得る測定結果または標準の値の性質。基準は通常、国家標準または、国際標準」[1]

と定義されています。


この定義の中の、

1.「不確かさ」[2]
2.「切れ目のない比較の連鎖」
3.「国家標準または、国際標準」

について、解説していきます。


1.「不確かさ」Uncertainlyとは、計測のばらつきのことです。「不確かさ」が大きいほど、測定結果として予想されるばらつきも、大きいものになります。

下記の「Calibration Certificate」に記載されておりますが、通常は小数一位以下の数値(例えば、0.07とか0.56)になっております。

2.「切れ目のない比較の連鎖」はトレーサビリティ体系図(Traceability Chartトレーサビリティ・チャート)によって、表記されます。

    例えば、こんな感じです ↓


各書類に記載された、基準器の型番・製造番号がトレーサビリティ体系図のものと、合っていることが絶対条件です。

3.「国家標準または、国際標準」
露点計は現在、国際標準の、NPL、NIST、SCSにトレーサビリティを取るのが、主流になっています。

NPL:National Phisical Laboratory
NIST:National Institute of Standards and Technology
SCS:Swiss Calibration Service

校正対象露点計の校正時に使用する基準器と、NPL, NIST, SCSの標準器との比較データ、「Calibration Certificate」が発行されます。
これには、基準器の製造番号が記載されています。


露点計のユーザーから、校正を依頼された会社又は機関は、以上のトレーサビリティを有した基準器と比較した「試験成績書」を作成し、「校正証明書」を発行します。


「校正証明書」の書類一式は以下の通りです [3]
1. 校正証明書
2. 試験成績書
3. トレーサビリティ体系図
4. Calibration Certificate

最後まで、お付き合い頂いて、有難うございました。

Konちゃん、たいへんお待たせしました。次、お願いします。

執筆者:Taku

脚注
[1] JIS Z8103:2000計測用語の2132番
[2] 不確かさ
[3] 「校正証明書」付きの校正

理論担当、Taku | comments(0) | -

そもそも、露点って何?




最初の執筆は、ブログ亭主のYoshiが担当します。

露点計には40年以上関わってきました。
最初は、たかが水分を測るだけのことじゃないかと、簡単に考えていました。

ところが、やっているうちに、たいへん奥が深いことが分ってきて、いまだに露点と格闘しております。

「露点計測のおはなし」ブログの最初の記事は、何と言っても、露点計測に関わりあった人が、最初にぶち当たる疑問の解説ですね。

「そもそも、露点って何?」

一番手っ取り早い方法は、ビールを飲むことです。

暑くて湿度の高い日の、仕事帰りに、屋上ビアガーデンでビールジョッキを傾けることです。

水滴が付いているジョッキの中のビールの温度が、雰囲気の露点です。まあ、大体6〜8℃くらいでしょうか。
単位は℃DP。℃は摂氏、DPはDew Pointoの略です。

正確には、露が付き始めた時の、ビールの温度となりますので、今の季節ですと、15〜20℃DP位ですね。

涼しい室内ですと、露の付きが悪くなります。

自分で実験し、正確に計測したい方は、こうです。

常温の水を少なめにジョッキに注いで、温度計を突っ込みます。氷を少しづつ入れながら、中の温度が均等になるよう撹拌します。徐々に温度を下げて行き、露が付き始めたら、その温度計の値が、部屋の中の空気の露点というわけです。

現在では、露点は電気的計器で計測するのが一般的ですが、上のような方法で測る機器もあります。

デューカップ(Dew cup)と言われるものです。イスズ式露点計とも言います。
使い方の手順をしっかり守って、計測すれば、かなりの再現性があります。

現場では根強い信頼感があり、いまだに露点計測の結果に疑問がある場合、これを使用して解決する時もあります。

露点計測を、目で見て実感するのに、最適の計器です。たいへん面白く、興味が湧くこと請け合いです。

水の代わりにアルコールまたはアセトンで、氷の代わりにドライアイスを使用します。

これです↓



デューカップ(Dew cup)イスズ式露点計

いずれ、取って置きのノウハウを、Konちゃんに詳しく解説してもらいます。
ご期待ください。

自己紹介を兼ねて、順番に1記事ずつ、書いて貰います。次はTakuさんの番です。あまり、間を空けないように、お願いします。

ではまた、

執筆者:Yoshi

 
ブログ亭主、Yoshi | comments(0) | -

「露点計測のおはなし」ブログ、始めました

「露点計測のおはなし」ブログを始めました。

露点計測に関わって、50年。たくさんのノウハウを蓄積してきました。

ここらで、みなさんに、ボチボチと公開していきたいと思います。

「そもそも露点って何?」から始まって、測り方のいろいろ、機器の取り扱い方、露点計の校正、トレーサビリティ、精度のお話、換算の仕方、単位のお話、いやな結露のお話、などなど等々・・・、思いつくままに各担当者がアップしていきます。

記事執筆は、ブログ亭主がYoshi、理論がTaku、計測がKon、女性の目線がHana、の弊社オールメンバーで担当します。

リクエストにもお答えします。書いてほしい内容を、こちら、まで、お知らせください。
気軽に参加、お待ちしております。

不定期です。アップのお知らせを、メールで受け取りたい方は、こちら、まで、ご一報ください。

ではまた、

執筆者:Yoshi
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